岩波明「文豪はみんな、うつ」
幻冬舎の電子書籍40%OFFクーポンで購入したこの本単行本が出た時は、かなりの話題作でしたよね!
いつの間にか文庫になっていて、更には40%OFFにもなって、買わない理由が無かったです。たまにある40%OFFの時期に、山のように電子書籍を買いがちな私です。
この本は、10人の文豪たちの生涯を一人ひとり振り返り、統合失調症だったのか、躁うつ病だったのか、ただのうつなのかなど分析していく、極めて特殊なアプローチでお話が展開していきます。
普通に考えたら、結構失礼な話なんですよね……自分の生涯を後に分析されて「みおこんぼさん、実はうつでした。」みたいな結論出されるとか、怖すぎる〜。
でも、この本は私結構好きで。
結果的に歴史に名を残した文豪たちが、みんな何かしらアウトローな生活を送っていて、日々悩み、時には希死念慮に取り憑かれ、幻聴も聴こえちゃったりして。
でも、あがいて必死に生きて、最終的には自殺だったり、精神病院で生涯を終えたり、病に冒されて短い人生だったりする……。正に、人間そのものなんですよね。
巻末で岩波さんも仰っているように、今この時代は、とにかく異物を排除しようとするきらいがあります。
なのに、多様性を認めよう!みたいな真逆の思想が世にはびこるわけで。下手すると、異物を排除しておきながら、多様性を認めろ!と声高に言う人も結構いたりして……なかなか難しい社会になってます。
文豪という「異能」を認めて、支える社会の醸成が望まれるのですが、令和の時代になって益々難しさを肌で感じている今日この頃です。
話が逸れましたが、この本は現代社会との対比という視点で見ても興味深かったです。
しかし、文豪たちの凄いところは行動力ですよ……。なんのツテもないのに、勉学のために単身海外に行けちゃうところ、尊敬しかないです。当時は船でしょう?いや、凄いわ。
個人的には島田清次郎さんが印象的でした。非常に傲慢且つ尊大な自己を持ち、とにかく嫌われ、社会に袋叩きにあって精神を病み、若くして亡くなった文豪。「地上」は、今読んでも読み応えある名作なんですけどね。
文豪の生き方や、精神世界に興味のある方にオススメの一冊です。