下村敦史「同姓同名」
これは良質なミステリーでした。二転三転していって、最後までどの【大山正紀】が犯人なのか、わかりませんでしたよ。
販売当時のキャッチコピーは、
登場人物全員、同姓同名。
大胆不敵、乱歩賞作家からの挑戦状。
大山正紀が殺された。
犯人は――大山正紀。
ね、めちゃくちゃ面白そうですよね。
有栖川有栖さんの推薦文もあって、
最高難度のアクロバットが見事に決まった。
作者の会心の笑みが目に浮かぶようだ。
でした。
このお話はわりと社会風刺が利いているので、そういった視点からもよかったです。
少年犯罪や、SNS炎上、いじめ……とても考えさせられました。特にSNSで誹謗中傷したり、正義感から行き過ぎた行為に陥っていく描写がリアルでした。
個人的に、表紙のデザインがすごく好きです。物語を読み進めながら、新しい大山正紀さんが出てくるたびにじっくり眺めました。
この本は読まないとなかなか良さが伝わりにくいかもですが、文句なしの面白さ。とにかく設定のアイデアが光る本なので、似たような本はありません。
書き下ろし短編は、設定のアイデアを使って書かれた別のお話でしたが、こちらも楽しめましたよ♪
少し捻った設定のミステリー小説がお好きな方に、オススメの1冊です。