筒井康隆「私のグランパ」
筒井康隆さんといえば、代表作が「時をかける少女」だからか、SF作家さんである印象が強いですよね。
この本は筒井康隆さんのSFではない有名作品とネットで紹介されていたので、購入してみました。なんと石原さとみさんのデビュー映画の原作だそうです。
映画観たことある方いますかね。
読み始めて驚いたのですが、とにかく文体が美しく流れるように読めました。読みやす過ぎて30分くらいで読めちゃいました……あっという間。
巻末の久世光彦さんの解説で、「声に出して読みたい小説」と言われているのがよくわかりました。確かに、朗読にぴったりかもしれません。突っ掛からずに読めます。すごい!
お話自体も明確な構成でわかりやすく、主人公の周りに出てくる問題を刑務所上がりのグランパが解決してくれるお話です。グランパの落ち着いた雰囲気に、なんでも解決してくれそうな説得力を感じ、何が起きても安心して読み進むことができます。
これからどんなふうに話が膨らむのかな、というところで唐突な最終章……衝撃的でした。文句なしに良い話なので、欲を言えばもう少し長いお話にしても良かったなぁ。
筒井康隆さんも、いつの間にかかなりのご高齢なのですよね。89歳か。私にはまだまだ想像もつかない世界にいらっしゃる。私も長生きして、好きな文章たくさん書きたいと思います。そして89歳になったら、「あの時わからなかった世界に、私はいるのね。」と、これを書いている自分を思い出してニヤニヤしたいです。
とにかく読みやすい小説を探している方に、オススメの1冊です。
最近このブログに読書記録書き忘れが多いので、気をつけたいです。他のところでも書いていて、数冊こっちに移し漏れている……。