みおこんぼ日和

私の読書記録ブログです♪

山本文緒「きっと君は泣く」

 

 

山本文緒さんは、2001年「プラナリア」で一世風靡した直木賞作家さんです。

あの時代は、直木賞ってめちゃくちゃ騒がれたんですよ……当時とても話題になり、私も拝読しました。
あとは「自転しながら公転する」とか、「ブルーもしくはブルー」が代表作かな。


今回読んだ「きっと君は泣く」は、山本文緒さんの本の中でも少しマイナーなのかもですが……いや、凄い話だなこれ。内容が時代錯誤って言われるのかもしれませんが、話のテンポが良いので引き込まれました。

 

私とは真逆の世界に生きる、人に依存して生きようとするタイプの女性のお話です。
でも私、主人公の椿は別に嫌いじゃなくて、その生き方がブレないから好きでした。
依存しながら計算高く生きてきたのに、段々と崩壊していき、そしてあのラストは……もう、椿、あなたはほんとに、かわいそうだわ。

 

タイトルの「きっと君は泣く」の意味は、「きっと君(椿)の生き方は将来泣きをみる」ということだと思います。
なので、タイトルだけ見て感動ものだと思った方が読んだら「えー、思ってたのと全然違う」ってなる話です。

 

他の方のレビューを見ると、ラストの椿の選択に、戸惑われている方も多いみたいでしたね。
でも私、このラストは傑作だと思うんです。
計算高く人に依存して生きてきた椿。何もかもが壊れて、ようやく自分の心がわかった場面なんじゃないかと。
自分のことって、自分でもよくわからないものだから……ようやく素直になれたんじゃないかな。損得考えずに、計算抜きで。
泣きを見たとて、価値があるんじゃないかな。

 

山本文緒さんのお話は、テンポが良くて読みやすく、オススメです。
「自転しながら公転する」あたりが一般ウケする話だと思いますが、この本も個人的には好きです。評判はあまり良くないみたいですが、面白かったです。

 

例え主人公が自分とは正反対だったとしても、最後まで読みたくなる1冊でした。
山本文緒さん、既に亡くなっている作家さんなんですよね……もう新刊が出ないことが、とても残念です。