みおこんぼ日和

私の読書記録ブログです♪

窪美澄「水やりはいつも深夜だけど」

 

 

窪美澄さんの本を読むのは、直木賞を受賞した「夜に星を放つ」以来です。

「夜に星を放つ」は、タイトルに星を取り入れた短編集でしたが、この本は植物でした。タイトルの言葉選びが面白いですよね。

〈ちらめくポーチュラカ〉とか、〈かそけきサンカヨウ〉とか、印象的です。全部まとめて「水やりはいつも深夜だけど」というセンスの良さが光ります。

 

深夜に読んでみたところ、確かに夜に色々考えながら読むスタイルが似合う本でした。「夜に星を放つ」もそうでしたが、なにかこう、日向に居られない事情や心を抱えて生きる人を書くことがうまい作家さんです。

 

この本のテーマは〈家族〉。

どのお話も驚くほどに登場人物の心情がリアルなんですよね。

私は子育て支援のボランティア活動して論文書いて講師やってたこともあるんですけれど、そこで出会ったお母さんたちが語るお話、滲む気持ち、そのままが表現されていました。

ここに書かれているお話が「実は、あなたのご近所にいる〈家族〉の話なんですよ。」と、言われても納得できるような、そんな説得力があります。

 

男性が読むと正直モヤるところがある作品かもしれません。出てくる男性が、みんなどこか自己中に見えてきてしまうんですよ……。男性もちゃんと家庭を守ろうとしているにも関わらず、なんだろうこれ。いや、リアルだな…女性目線で書くのがほんとに上手い作家さんなんですよね。

 

結婚はしてからの方が先が長く、ゴールではない。巻末の対談でも言及されていましたが、これから結婚を考えている方にもオススメな1冊です。