みおこんぼ日和

私の読書記録ブログです♪

神林長平「天国にそっくりな星」

 

コピックで描かれたような、いかにもアナログの絵の表紙に惹かれて購入。
読み終わった後にイラストを改めて見ると、なるほどこのお話の世界観をしっかり表現している絵なんですよね♪ 読まないとわからないポイントが織り込まれてました。

 

絵で惹かれて軽い気持ちで読み始めたからか、思いの外「あれ、これめちゃくちゃ本格的なSFだわ……。」と驚きました。
こんなにしっかりとよく練られた世界観!ただ者じゃないなと思ったら、やはり作者はSF界の重鎮ですね。


これだけの話を何作も書き続けて、70歳でも現役のSF作家とは…本当にどんな頭の中なのかしら。SFって世界観が高度になればなるほど、世界観の説明みたいなもので物語のリソースを食われちゃう感じがするじゃないですか。そのせいで肝心のキャラクターが目立てない、話が動かない、みたいな。

 

でもこのお話は、ちゃんとその世界観の中で登場人物が生活していて、しかもその生活がしっかりと身近に感じられるんですよね。主人公の生活を通して、世界観が浸透してくるといいますか。大変読みやすかったです。

 

神林長平さんの文は、一文が短くて、サクサク進むのが特徴。テンポよく読めるので、文章の上手い人だなぁ…と思いました。一文が短いと、ブツブツ切れるような印象に転ぶパターンもありますが、そう思わせないのが素晴らしい。見習いたいなと思いました。

 

よく練られた世界観に、どっぷりと浸かってみたい方にオススメの1冊です。